なな色のお話達

思いついたままに

色の無い世界③


友人と食事を済ませ
また店に戻る。

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店内は白と黒の服しかない。

元々はカラフルだったのに。

「ただいまぁー」

店内の奥で姪っ子がiPadで動画を見ていた。

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「あら、来てたの?」

近くに住む妹が
旦那さんと買い物にきていた。

「おねぇちゃん!今  話してたんだけど、
今日この子が虹をみたのよ!
お絵かきした時に虹の絵を描いたの!
保育園で見たってゆうの!
赤、黄色、青って!」

妹は目と口を大きく開けて話した。

「先生たちには見えなかったみたいだけど、
園児達には見えてたみたいで
子供達が、
先生!にじぃ〜!
って同じ方向を指差していたらしいわ。 
みんな赤!とか緑!
って嬉しそうに言ってたみたいなの。
虹よ!しかも子供にしか見えないって!
なんかすごくない!?」

興奮気味に話す妹の横で妹の旦那様は
元々は鮮やかなブルーだった、
グレーのデニムを試着している。
 
「へー。なんなんだろうね。
でも、なんか夢のある話ね。
たしかに子供達限定なのも、不思議。」

私のちょっと微笑みながらの返事に
妹が落ち着いて言った。

「また普通の色のある暮らしに早く戻ればいいね。」

私はゆっくり頷いた。