〜世にも奇妙な話のような夢④〜
その人を救う…
私が悪いと言って刺してきたあの人の
その理由が分からないといけないのか…?
ネネの話しから考えながら運転していると
気づけば目的地に着いていた。
あれ?
迎えにこない。
時間はとっくに過ぎているのに。。。
頭の中がグルグルする。
街中の駐車場に停めると、駅前のビルまで歩く。ネネがそのビルの中に好きなお店があると言うから入る。
すると、ビルに入って早々バッタリ後輩に会う。
🐷「ららさん!おつかれさまです!」
👩🏼「あら、メグちゃん!1人?」
メグちゃんは前の職場の後輩だ。
可愛らしく素直なのだが素直過ぎて、心境が顔に出やすい。
🐷「あ、今日は彼氏とです。こんにちわ。」
チラッとネネを見て、頭を少し下げる。
👧🏻「こんにちわ!」
👩🏼「妹のネネよ。」
🐷「妹さんなんですね。仲がいんですね。」
そう言うとめぐちゃんは少し表情が変わった。
👩🏼「めぐちゃん、なんかあったら連絡しておいで。じゃあね!」
めぐちゃんの表情がなんとなく気になったが、先を急いだ。
エレベーターに乗り3回に上がる。
相変わらず多くてギュウギュウ。
3階に着いて目的のショップに入る。
ネネと私のファッションは全く違うので
ネネの好きそうな物に手を掛けて
ネネに提案しながら久々のショッピングを楽しんでいた。
🙍「あ!ららさん!お疲れ様です!」
振り返ると同業のエリだった。
駆け寄ってきたエリはちょっと涙目にみえた。
👩🏼「エリ!エリも買い物?」
🙍「友達の付き添いです!ららさん1人ですか?」
👩🏼「ネネと一緒よ。ほら、あそこ。」
鏡の前で服をあてて見ているネネを指差す。
🙍「ネネさん!お疲れ様です!」
私とネネは一緒にお店を経営しているので、
同業者はだいたい2人をセットで知っている。
👧🏻「あ、エリちゃん!おつかれさま!
コレ、どう思う?結婚式なんだよねー。」
🙍「似合いますよ!ネネさんは可愛らしい
ワンピースがいいと思います。」
ネネはここから1時間は悩むだろう。
覚悟していたが、もう一度心の中で覚悟を決める。
🙍「あ、ららさん、近々ちょっと付き合ってもらえますか?相談したいことあって。」
エリとはよく一緒に飲みにいって仕事の悩みや彼氏の話をしている。
よくみるとエリの目が腫れているようでやはり涙目だった。
👩🏼「あれから気になってたのよね。彼氏。
ちゃんと話せた?」
🙍「それが…」
エリが今にも泣きそうな表情になった。
お互い付き添いの身であり、買い物には時間もかかるし立ち話もなんなので、ショップ前の通路のベンチに座り
話を聞くことにした。
エリは彼氏と同じお店で働いている。
彼はそのお店のオーナーの川田君という。
女癖が悪く、純粋なエリは川田君に尽くして
その店で働いているが最近は心が折れかかっていた。
🙍「それが、昨夜です。酔った川田さんを店に残して他の女の子達を送りのタクシーを手配して、私はジュンちゃんとご飯を食べに行ったんです。」
ジュンちゃんはその店で働いているエリの後輩。
🙍「でも、やっぱり川田さんが気になったので食事が終わってジュンちゃんを送ってから
また店に戻ったんです。…
そしたら…ウウッ…」
エリは涙をポロポロ流し、手が震えだした。
私はとっさにカバンからハンカチをエリの手に握らせて、肩に腕を回した。
たくさん人が目の前を歩いているが、
人目を気にして移動する余裕もエリにはなかった。
🙍「この間、ららさんに話した女の人が
いたんです…
グスッ…
しかも、川田さん…ゥゥッ…私…
もうムリでず…」
川田君の浮気癖に私も飽き飽きした。
エリは可愛いくて純粋で
川田君に一途で、仕事も頑張っているし
同棲している2人はエリが日常生活でも
身の回りのこと献身的にやっていた。
👩🏼「今日はどうするの?お店休みでしょ。
ちゃんと話、出来そう?」
エリの肩を撫でながら小さい声でゆっくり話しかける。
細くて小さい。
こんな辛い思いさせて…
🙍「もう今日は顔もみれません。みたくないんです。電話も出るつもりもありません。
友達のうちに泊めてもらおうかと。
どうしたらいいと思います?
もう別れた方がいんでしょうか?好きだけど、何度話しても言っても治らないし、こんな事がずっと続くかと思うと…ゥゥッ…」
複雑だった。
実は先週の木曜日、川田君がお店に顔を出してくれた時にちょっと話しがあると言ったので
店が終わってから
いつものBARに一緒に行った。
その時に川田君が言っていた。
💂🏻「ママ、俺さ。エリと結婚しようと思う。
エリにはまだ言ってないけど、もうそろそろ
エリにもちゃんとしてあげたいなって思って。」
それを聞いた私とそのBARのオーナーのりゅうは、2人共涙目になり顔を見合わせ、3人で乾杯して喜んだ。
…なのに。川田のやつ。
エリには内緒にしてくれと言われているし。
👩🏼「エリの気持ちはどうなの?正直、今はまだ気持ちが動転してるから考えられないだろうし。私は少し時間をとってみたほうがいいと思う。お互いにとって。考える時間。」
エリが黙ったままうなずく。
ヒクヒク喉がなっていた。昨日も泣いただろう。心も化粧もボロボロになりそうだ。
ショップの前にいる事を忘れてしまっているようにエリに寄り添っていた。
ネネの買い物はまだ終わらない。
🙍「ららさん、ありがとうございます。
少し聞いてもらったら楽になりました。」
👩🏼「うん、とりあえずトイレに行こうか?
メイクもとれてるし。」
ネネに場所を離れることを伝え
一緒にトイレにいく。
🙍「ららさん、本当にいつもありがとうございます。ららさんに聞いてもらって
本当に救われてるんです。タイミング良く会うし。笑」
少し笑顔が見れてホッとした。
トイレの鏡を見てエリは
ヒドイ顔っ
とつぶやいた。
私もエリの顔を鏡越しで見て思わず吹き出した。
軽く化粧直しをしてから
2人でトイレを出る。
🙍「ららさん、今日友達の所に泊まって
明日になってから思ったことをまた
連絡します。本当にありがとうございます。」
エリの顔が少しスッキリしたように
みえたので
私も微笑みながらうなずいた。
と、瞬間に今朝の結奈の電話から始まり
同僚のともねぇやカナとミサ、メグちゃんの顔が浮かんだ。
みんな、何か聞いてって
いってたな。
ネネの買い物もまだ終わらないし
まず結奈に電話してみようかな。
そう思いながら、ネネのいるショップの前にエリと戻り解散した。
ネネの買い物の様子を一旦みようとショップに入ろうとした時、
右手の手首を掴まれた。
ん?
振り返ると、
また
あいつが立っていた。
🌝「お時間です。」
え?!
えっえーーーーーーーー!?
あの男はまた私の手を引き、どんどん現れる
ドアを突き抜けていく。
うそっ!?
まじで?!
時間も場所も全然違う。
どーゆーこと?
逃げても無駄なの?
途中から忘れていたのに。
またココに戻された。
薄暗い倉庫のような場所に。
「ウウッ…」
ブスッ
んもぅ。。。
どうすりゃいいのよ。。。
薄れゆく意識の中でぼんやり思い出したのは
ネネの言葉。
「その人を救わない限り、その夢って
続くんじゃないかな…」
その人が分からないからどーすりゃいんだ。。。
ハッと目を覚ます。
もう分かってる。
今日は11月8日10時23分。
ベッドの上。
さて、どうするか。