なな色のお話達

思いついたままに

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

色の無い世界10 〜赤の妖精〜

赤いおじさんが僕の肩に腕を回したまま外へ出ようとした。ガチャッドアがまた開いた。スラッとしていて小顔でポニーテールをしているキリッとした目の女の子だ。僕より背が高い。その子は鋭い目でおじさんを見て言った。「誰?」「おかえり!アール!お前に…

色の無い世界⑨ 〜赤の妖精〜

ガチャッ赤いおばさんの家のドアが開いた。おばさんの家は真四角なのでドアが開くと誰が入ってきたかすぐに見える。今度は赤いおじさんだ。赤く短い髪。赤いメガネ。赤いTシャツに赤いサスペンダーをした赤いズボン。背は高く体型は普通。「お前はなんだ!!…

色の無い世界⑧ 〜赤の妖精〜

真っ赤な木のドア。金のドアノブ。僕は不思議と緊張とか不安とかはなく、 体全体で進むことしか考えていなかった。ママと番人が見守る中、ゆっくりドアノブを回した。回したドアノブをゆっくり押す。開いたドアの向こうは真っ赤な紅葉の森だった。ゆっくり一…

色の無い世界⑦

「じゃぁ、ママ!行ってくるね!!」スタスタとドアに向かう息子。息子のためらいの無さと反対に私はまだ頭の中で何も整理ができていなかった。息子に叫んだ。「コウ!あんた本気!?」息子は足を止めて、私のほうを振り返った。堂々とした真剣な眼差しは何…

色の無い世界⑥

番人は言った。「もしかして君、13才?」息子を見てニヤっと笑った。「はい。」息子は落ち着いた口調で答えた。息子の答えに番人は言った。「よし、決定だな!改めまして、僕はレインボードアのキーパーのパルです。この色の無い世界に色を取り戻す為に必要…

色の無い世界⑤

不思議だ。車を40分くらい走らせた。虹のふもとに来た。誰も見たことがないであろう、虹の端っこ。私と息子は山道に車を止めて、山の中まで歩いて入った。よく考えれば危険だが、それよりも不思議なことになってしまった。静まりかえった森の中。マイナスイ…

色の無い世界④

その日私は息子と買い物に出かけていた。車を運転していたら助手席の息子が大きな声を出した。「あ!‼︎」中学にあがり声変わりした息子の声はまだ聞きなれない。「なに!?急に!!ビックリするから危ないじゃない!!」私はハンドルを強く握り眉間にしわを…