なな色のお話達

思いついたままに

色の無い世界①



なにが起こったのかは
わからない。

目をさますと
普段見慣れているはずの
世界は

白黒だった。

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昨日ネイルしたばかりの自分の爪。

もらった結婚指輪。

本当は綺麗な色なのに。

テレビをつけてみた。

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最近お気に入りのポップなカラーの
アニメも
昭和のテレビみたいだ。

身支度を済ませ外に出る。

外も白黒だ。

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葉の緑も
花のピンクも
通勤途中の公園も色を失っていた。

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空の青も
全て白と黒のコントラストになっていた。

なんだか
冷たく寂しい空っぽな世界。

家を出て徒歩5分くらいの
主人と経営している
ショップにつく。

先にお店のOpen準備をすませてくれていた
旦那様が
私に気づいて
ニッコリ笑った。

「おはよう!」

これは夢なのかな。
この白黒な世界以外は何も変わらない。

「おはよう。」

私もニッコリ挨拶して、足元に目をやる。

入り口に置いてある
子供用のガム。

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…何味かわからない。

旦那様の顔を見上げて言った。

「白黒?」

すると彼は言った。

「そうだよ。」

私は聞いた。

「なんで?」

彼は私の目をジッとみて少し顔を曇らせた。

「光がないからだよ。」

私は眉間にシワを寄せて、また聞いた。

「私が?」

彼はちょっと不安そうな私に微笑んで言った。

「こっちゃんだけじゃないよ。
この世界から光がなくなったんだ。
朝も昼も夜もちゃんとくるけど、
地球の何らかの環境汚染で空気中に
光が通らなくなったんだよ。
もう、この説明するのも何百回目だろうね。」


彼の話によると
カラーセラピストとして仕事をしていた
私は
このことが酷くショックだったらしく
この現実が受け入れられないのか、
毎日この説明を聞いているらしい。

服や小物を取り扱っているが
店内の奥にいくと
私のヒーリングスペースとなっていて
テーブルとソファがある。

テーブルには
カラーセラピーの時に使用する
カラーボトルが置いてある。

私の大好きなカラーボトル

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かわいそうに…
誰が誰だかわからない。

色は光の長さで見えている。

本当は光で色をみているから
実際は物体に色はない。

だから
光がなければこうなるんだ。

なんて、味気なくて面白くないんだろう。

ポンポンっと
後ろから彼が私の肩を叩いて
抱き寄せた。

「大丈夫、また色が見えるようになるよ。」