なな色のお話達

思いついたままに

〜同業の和の木曜日〜


チリンっ🕚

👩🏼👧🏻「いらっしゃいませ」

👩🏼「あら、お疲れ様。どうしたの?サボり?」

💂🏻「ママのところは相変わらず、入ってるねー。どこもガラガラだよ。この状況で2人でやってるんだから本当にすごいよ。店が暇すぎて心が折れたから、もう飲みに出てきたんだよ。」

空いていたカウンター席の真ん中に座ると、出したおしぼりで軽く手を拭く。

👩🏼「あ、さっきまでリュウが来てて同じこと言ってた。木曜日定休日にしよっかなって。
でもリュウの店はBARだから、今からの時間でしょって話してたんだけどね。」

💂🏻「え、じゃぁ店に居ないでもっと早くこっちに来ればよかったなー。リュウとも話したいことあったし…。後で行ってみるか。
あ、ビールで。それと、ママも手が空いたら飲んで。こっちは気にしなくていいから。」

👩🏼「ありがと」

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生ビール。泡のきめ細かさも美味しさの一つ。
きめ細かい泡を出すには、サーバーの細かなお手入れとメンテナンスが必要。
生樽は開封してから3日目まで。
4日目以降は味が落ちる。
ビール党のネネが生には厳しい為、4日目のビールは注文が入っても「商品として出せるものではない。」と言うから4日目は振る舞い酒のようにしている。

夏が過ぎると、生ビールの出る回数が減りコストが高くなる為、7月〜10月までの期間限定にしている。

👧🏻「ママ、BOX計算です。」

👥「ママ、チェックゥ〜!!電車の時間だった!!」

カウンター席とBOX席のお会計が立て続けに入る。

👩🏼「はい、和田さん、ちょっと待てる?」

電車組を優先にお会計を済ませ、お見送りに出る。

👩🏼「お待たせ〜」

バタバタと私が店に戻ると、見送りに出ている間に帰られたお客様の席は片ずけてあり、次のお客様を迎える体制が出来ている。

BOX席もお会計を済ませ、団体様を見送る。

👬「また、ママとネネちゃんのAKB見にきます!!」
👬「俺も!今度、友達と来てもいいですか?」

👩🏼「ありがとうございます。是非⭐️
って言っても30歳のAKBはキツイでしょっ!!」

👱🏽「お前らちゃんと、金持ってくるんだぞっ!
ママ、こいつらがもし単体で来たら、俺のボトル出しといていいから。」

会社の飲み会はいつの時代も飲みニケーション。
一杯のお酒で深まることもある。

団体様を見送る時は、一番後ろを歩いている人が見えなくなってから上に上がる。

なるべく自分の見える範囲はお見送りしたいのが私のポリシー。

たまに、角を曲がるまで何度も振り返り手を振ってくる常連さんもいる。

急いで3階に戻ると、もうBOX席も片ずけてあり、ネネがカウンターのお客様と会話しながら
カウンターの下でグラスを洗っていた。

姉ながらアッパレ。

ネネは1人で、まだいらっしゃるお客様と会話しながら片ずけも終わらせようとしている。

👩🏼「ありがとー」

っとネネに言うと私は食器フキンで洗い終わったグラスを拭きながら、川田くんに話しかける。

👩🏼「じゃぁ、私もビールたまには頂こうかなっ」

💂🏻「どーぞっ。俺も、もう一杯頂戴。」

川田君💂🏻は近くのお店でスナックとラウンジを経営しているオーナー。
32歳独身。イケメンで気さくだから、女たらしでも有名。だけど、男性にも可愛がられるタイプ。

👧🏻「あ、山下さん!川田君のお店にかわいい子がいるよ!行ってみたら?」

川田君の一つ席を挟んで隣に座っていた山下さんに話を振る。

川田君は山下さんを見て、ペコッと頭を下げる。

🐸「ここ以外に浮気してもええんかっ!?そっちばっかり行くようになってもしらんよっ。笑」

関西弁でケラケラ笑うのは、山下さん🐸。
36歳。独身。バツイチ。
元々が兵庫県出身らしく、兵庫を離れてからは
長いけど、関西弁は抜けないらしい。 

🐸「ほらっはよ、飲め飲めっぃ」

ネネの空きかかったらグラスに瓶ビールを注ぐ。

🐨🐗「ママ、俺たちもソロソロ帰ろっかな。明日仕事だしっ。」

カウンターのトイレ側の端から座っていた2人。

ひこ兄さん🐨。36歳、既婚者。新婚さん。
物腰が柔らかく、ユニークなセンスの持ち主。

エッチャン🐗。ひこ兄さんの会社の後輩。
私の学生の時の友達の元彼が、エッチャンの親友だったと言う、遠からず近からずの同級生。

👩🏼「はーい、ありがとう」

布巾を置いて、会計をする。

ネネは洗っていた食器を置いて、慌てて端っこにいき最後の乾杯をして、飲みかけのビールを飲み干す。

👧🏻「あっ、ご馳走様ですっ
ひこ兄さん、カッちゃん、またねっ!」

🐗「おいっ!エっちゃんやっ!笑」

これは、毎度のご挨拶。名前をわざとネネが
間違えて本人が突っ込む。

カウンター席に座っていた全員がその光景をみて微笑み、笑う。

ネネのこういった愛嬌がアットホーム感を作ってくれているんだなっといつも思う。

ひこ兄さんとエッちゃんが席を立ちながら、
他のお客様に軽く会釈する。

🐸「またなっ!たっちゃん!」

山下さんが、さっきのノリにのっかって
初対面のエッちゃんに手を振る。
さっきまで隣に座っていたから、親近感も少しわいているようだ。

🐗「だから、エッちゃんやっ!!」

エッちゃんが照れ笑いしながら、頭をペコッと下げてお店から出る。

また、みんなが笑う。

👩🏼「いつも。ありがとうございます!」
お見送りのエレベーターの中で改めて言う。

🐨「ららちゃん、実はね、さっきネネちゃんには報告したんだけど、赤ちゃんが出来たんだ。」

👩🏼「あー!!おめでとう!!
奥さん、体大事にね!!
ひこ兄さん、パパになるんだね!!」

🐗「俺も早くパパになりたいなぁー」


今日も素敵なハッピーを分けてもらった。

2人を見送って空を見上げたら、ビルとビルの間に電線が何本も通ってて街が明るいからか、
空には星が見えなかった。
でも、明らかに私がお店に戻る足取りは
ルンルンだった。