なな色のお話達

思いついたままに

member's 「coa」

ここは、とある街のまぁまぁ小さな繁華街。

この話は
私が営むスナックを姉妹で営業している
日々のストーリー。

独特なメンバーがなぜか揃う
アットホームなお店の
実話を元に作製。

本編は私的主観であり、事実とは異なることを含んでおり、店名、人物名、団体名は仮名としています。


〜月曜日の取り扱い説明書〜

仕事終わりの最寄りの駅を出て正面にある
商店街に入ると、
夜はシャッターがほとんど閉まっている。

商店街を少し歩くと
タクシーが横切る十字路に出る。
角には
ガラス張りになっていて
中が見える立ち飲み屋や居酒屋がある。
スーツの人や作業服の人が
チラホラ。

そこを右に見るとパチンコ店が並ぶ。

左に見ると
黒服のお兄さんや私服のお兄さんやおじさんが
ポツポツいる。
まぁ、今日は雨降りの月曜日なので
人はかなり少ない。
黒服の人の方が明らかに多い。
時間的にもまだ20時前なので
黒服街の時間はまだまだ今からだけど。

左に曲がって、
キラキラしてるような
殺伐としているような
黒服街を進むと
公園がある。

待ち合わせや昼間のイベントによく使われる
それなりの広さがある公園。
でも、ベンチの上に設置してある
屋根のようなものは
格子状になっていて、雨の日は
ベンチも人もビショビショになる。
雨宿りの意味なし。
2年前にキレイに公園を改装したはずなのに。

公園の道路を挟んで、
囲むように並んだビルは
スナックやラウンジ、BARなどの
飲食店が入っている。

この公園を中心?に
繁華街が広がっている。



『ようこそ、
member's 「coa」へ。』

公園からは30秒ほど歩くと
ビルの3階にあります。

ここは
ご紹介システムのmember'sです。

ですが、
金額設定は割と良心的と言われます。
なぜかとゆうと
スタッフが👩🏼私(30歳)と👧🏻妹(25歳)
2人で営業しているため、
店内はカウンター9席、ボックス席9名様
くらいの広さですが
基本、2人でやっています。
そこで、2人しかいないことから料金はわりと低めに。

申し遅れました。
わたくし、オーナー兼ママをしております
姉の「的野らら(まとの らら)」と申します
はい、源氏名です。

姉妹2人でスナックを始めるにあたり
自動的に姉の私が
ママになりました。


毎日、20時にOpenします。

そろそろ20時です。🕗

チリンっ

あ、

👩🏼👧🏻「いらっしゃいませ」( ´ ▽ ` )

だいたい月曜日の20時を狙って
いらっしゃるのは
常連さんの
👤「ジェン」さん。

キープのボトルは
フォアローゼスのブラック。

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私的には、
昔、昆虫のアリを指で潰した時に
潰した指から臭ってくるような
ツーンと香りがくる
バーボン。
こちらは、水割りで。


👩🏼「こんばんわ、キープでいいですか?」

👤『今日はまだ一杯目だからビールで』

おしぼりを広げて両手で手渡す。
ジェンさんは丁寧におしぼりで両手を拭く。

面白い事に人それぞれ決まった席がある。
だいたい席が空いていると、指定席へ。
ジェンさんは
基本的にカウンターの端っこに座る。
トイレに近いカウンターの中から見て右の席。
先客がいる場合は反対側の端っこ。

見た目は20代後半から30代前半くらいに
見え、元々学生の頃は陸上部だったのもあり、
体は締まっている。
でも、実は40歳。独身。バツなし。
ストイックで独特なオーラを出す。

オーラの色は緑とピンク。

あ、実は私、霊感的なものがあり
オーラもみえたりします。

👧🏻「お待たせしましたー。」

妹の"ねね"はビール党なので、
生ビールを注がせたら絶妙な泡とビールのバランスが本当に美味しそうに注ぐ。

ジェンさんは生ビールを
グビグビとグラスの半分くらい飲むと、
グラスを置いた。

基本的に割と無口なので
こちらから話題をふる。

👩🏼「今日は電車で来られたんですか?」

👤「うん、最近ちょっとまた体を絞ろうかと思ってて、タクシーでくるより駅から少しでも歩こうと思って。料金も全然安く上がるし。
なんでわかった?」

👩🏼「傘と服が割と濡れていたので。
ジェンさんあまり傘のイメージも今までなかったので。笑」

👤「こわっ!! ららちゃんから言われると何か違う意味で見えたのかと思ってしまう。
フフッ」

ジェンさんは無口で少し表現が下手なので、
ちょっと冗談っぽいことを言おうとすると
マジっぽく聞こえることがある。

ここでは、"こわっ"の表現が
私を恐れているようでバカにしているようにもとれる大げさなリアクション。
でも、ジェンさんに悪気がないのはわかっている。


元々ご紹介していただいた最初の来店の時、
お会計の時にお釣りが足りなくて、
お釣りはいらないと一万円札を
置いてタクシーで、サッと帰られた。
怒っているような、微妙な空気があった。
ジェンさんを紹介してくれた
BARのオーナーさんにお詫びの連絡を入れると、
😎「ちょっと気難しい人だからねー。ごめんね。
今度また誘って一緒にいくから
預かってて!」
と言われたのですが、
私的に何か嫌だったのでお釣りを封筒に入れて、BARのオーナーさんのお店に行き
👩🏼「本当に申し訳ありません。こちらに
いらした時に渡して頂けませんか?
うちにもし、もういらっしゃられないつもりだとしたら、預かったままになるので。」
と、お願いしました。

すると次の日、さっそくジェンさんは
昨夜の出来事を少し怒った口調でBARのオーナーさんに話してきたようです。
👤「お釣りがないから、両替してくるので
少し待ってて下さいって。お店は2人しかいなくて他にもお客さんいるのに、は?って思って
すぐ帰ったよ。
お釣りがないってありえないだろ。」

そこで、BARのオーナーさんが
😎「ジェンさんが帰られた後すぐに、うちにコレを持ってきたんです。渡せなかったら申し訳ないので事ずけさせて下さいって。
それから、来店されたらお詫びだけ言わせてもらいたいので連絡くれと言われているのですが
連絡していいですか?」

と封筒を手渡して、
それを見たジェンさんは

👤「…連絡しなくていーよ。今から行くから。」

それを聞いたオーナーさんは

(おっ!コレは気に入ったなっ)

と思ったそうです。

それからジェンさんは
毎週月曜日のほぼ20時にいらっしゃいます。

ジェンさんが唯一心を開いているBARのオーナーさんに、ちょくちょく何処か良い所ないかな?とスナックやガールズバーの紹介を促しては、初来店で気に入らない所を指摘して、
なかなか足を運ぶお店がみつからなかったそうです。

オーナーさんがゆうには
😎「ちょっと気難しい人だから、他のお店は
ジェンさんが帰られた後、わざわざアクション起こすお店がなかったからね。
ららちゃんみたいにお釣りを持ってきたり連絡してくれって言ってくる事は、なかなかないからね。嬉しかったんじゃないかな。」
と、おっしゃって下さいました。


👤「あ、そういえば
今度のミスチルのツアーのチケットどうする?4枚とるか3枚とるか」

…きた。

私達は顔を見合わせて、

👩🏼「とりあえず、いつも取ってもらってばっかりで申し訳ないので、自分達で申し込んでみようと思ってて。」

👤「あ、そうなの?俺は全然かまわないんだけど。」

👩🏼「ありがとうございます。とりあえず
申し込んでみますね。もし当たったら他に行きたいって子がいるので、その時ジェンさんは別の方を誘ってもらって全然かまわないので。」

Mr.Children好きの私達姉妹はツアーの
チケットが当たる確実No. 1のジェンさんに
いつも同行させてもらっていた。

ジェンさんは元々浜崎あゆみのライブに
毎回行っており、
浜崎あゆみが好きな👧🏻ねねは2回ほど
ライブに連れて行ってもらっていた。

しかし、私達が
Mr.Childrenにハマりまくっていたのもあり、
あるときジェンさんが
チケットをプレゼントしてくれた。
抽選で当たったらしい。
そして3人で初のミスチルのライブに!!
全身からアドレナリンと涙と汗がでて、
ライブが終わってからも
席を最後の最後まで去ることが出来ないくらい
余韻に浸りまくっていた。

だけど、最近は心の底からMr.Childrenのライブが楽しめないとゆう気持ちが強くなってきていた私達。

なぜなら。

あるツアーの地元であるライブに
👧🏻ねねが行けなかった時があり、
当時ミスチルのライブが生きがいだった私達は、
名古屋ドームのツアー最終日のチケットを
幸運にも当て、お店のドアに"社員研修の為"と張り紙をし、2人で名古屋へ行き
全てのパワーを使い、また新しいパワーを注入して帰ってきた時があった。
あの日、今までいったミスチルのライブの中でも一番楽しめた。
叫び、歌い、踊り、泣き。。。

そこで私達は気づいてしまった。

2人で行った方が心から楽しめることに。