なな色のお話達

思いついたままに

色の無い世界⑨ 〜赤の妖精〜


ガチャッ

赤いおばさんの家のドアが開いた。

おばさんの家は
真四角なのでドアが開くと誰が入ってきたか
すぐに見える。

今度は赤いおじさんだ。

赤く短い髪。
赤いメガネ。
赤いTシャツに
赤いサスペンダーをした
赤いズボン。

背は高く体型は普通。

「お前はなんだ!!」

僕と目が合うと
いきなり怒鳴り声を上げられた。

学校で授業中に先生に怒鳴られた時のように
僕は思わず、椅子から立ち上がり
ピシッとなった。

「こ、こんにちわ!」

「ちょっと!!いきなり大きな声出さないでよ!!この子を誰だと思ってるのよ!!
ほんっとに短気なんだから!!

僕の声をかき消すように
おばさんがすぐにフォローしてくれた。
だけどおばさんも口調が強いから
なんだか喧嘩でも始まりそうな
気まづい雰囲気だ。

おじさんはこっちへ歩いてくると
しかめっ面で
「お前、なんだ?!どっから来た!?」

僕が口を開こうとすると
再び、すかさずおばさんが言った。

「この子は虹を渡る子。
そして、アールがそのお供よ。
…あんた、ついにこの日がきたのよ!」

それを聞いたおじさんは
目を大きく開くと

「そうか!!それなら話は早い!!
さっきは怒鳴ってすまない。
すぐ、カッとなってしまうからな。
よし!アールが帰ってくるまで、赤の国を
案内しよう!
お前、名前はなんだ?」

おじさんは僕の肩に腕を回した。

「コ、コウです。」

まだちょっとビクビクしている僕を見て
おばさんが言った。

「コウ!そう言えば名前聞いてなかったわね!
娘の名前はアール。私はその母親で
そっちは父親よ。」