なな色のお話達

思いついたままに

その春風に吹かれて〜真奈編〜

運ばれてきたハンバーガーとポテトを目の前に 彼女は目を見開いた。 ゆっくりとポテトに手を伸ばすと、一本を手に取り口に運んだ。 「おいしいっっ!」 目を丸くして2口で一本を食べると、ふっと我に返った様に私を見て言った。 「これ、食べたことある?」 …

その春風に吹かれて(仮題)⑶〜真奈編〜

ー目が覚めなければいいのにー そう思って目がさめる。 また同じ1日の始まりだ。 部屋からでてみる。 親は帰ってきてない。 AM6:32 歯磨きをして昨夜コンビニで買った今朝用の パンを食べる。 流れ作業の様に無心で制服を着る。 居場所のない学校へまた今…

その春風に吹かれて(仮題)⑵〜栞編〜

ー最後の一枚のあの葉っぱが 散った時に 私の命も散るー 私は17歳。 本当だったら高校に通って部活したり 今日のことや明日のことをツイートしたり 彼氏とデートしたり、友達とマックに行ったり そんなことをして過ごしているのだろう。 それは完全に憧れだ…

その春風に吹かれて(仮題)〜真奈編〜

(電車の通過音) プファーンッッッ (遮断機の音) カンカンカンカン 踏切を超えることもできず、ただ遮断機の前に立っているだけだった。 ー自ら命を絶つこともできない。勇気もない。 私は自分の無力に脱力感しかなかったー トボトボと自宅のアパートに向かっ…

色の無い世界10 〜赤の妖精〜

赤いおじさんが僕の肩に腕を回したまま外へ出ようとした。ガチャッドアがまた開いた。スラッとしていて小顔でポニーテールをしているキリッとした目の女の子だ。僕より背が高い。その子は鋭い目でおじさんを見て言った。「誰?」「おかえり!アール!お前に…

色の無い世界⑨ 〜赤の妖精〜

ガチャッ赤いおばさんの家のドアが開いた。おばさんの家は真四角なのでドアが開くと誰が入ってきたかすぐに見える。今度は赤いおじさんだ。赤く短い髪。赤いメガネ。赤いTシャツに赤いサスペンダーをした赤いズボン。背は高く体型は普通。「お前はなんだ!!…

色の無い世界⑧ 〜赤の妖精〜

真っ赤な木のドア。金のドアノブ。僕は不思議と緊張とか不安とかはなく、 体全体で進むことしか考えていなかった。ママと番人が見守る中、ゆっくりドアノブを回した。回したドアノブをゆっくり押す。開いたドアの向こうは真っ赤な紅葉の森だった。ゆっくり一…

色の無い世界⑦

「じゃぁ、ママ!行ってくるね!!」スタスタとドアに向かう息子。息子のためらいの無さと反対に私はまだ頭の中で何も整理ができていなかった。息子に叫んだ。「コウ!あんた本気!?」息子は足を止めて、私のほうを振り返った。堂々とした真剣な眼差しは何…

色の無い世界⑥

番人は言った。「もしかして君、13才?」息子を見てニヤっと笑った。「はい。」息子は落ち着いた口調で答えた。息子の答えに番人は言った。「よし、決定だな!改めまして、僕はレインボードアのキーパーのパルです。この色の無い世界に色を取り戻す為に必要…

色の無い世界⑤

不思議だ。車を40分くらい走らせた。虹のふもとに来た。誰も見たことがないであろう、虹の端っこ。私と息子は山道に車を止めて、山の中まで歩いて入った。よく考えれば危険だが、それよりも不思議なことになってしまった。静まりかえった森の中。マイナスイ…

色の無い世界④

その日私は息子と買い物に出かけていた。車を運転していたら助手席の息子が大きな声を出した。「あ!‼︎」中学にあがり声変わりした息子の声はまだ聞きなれない。「なに!?急に!!ビックリするから危ないじゃない!!」私はハンドルを強く握り眉間にしわを…

色の無い世界③

友人と食事を済ませまた店に戻る。店内は白と黒の服しかない。元々はカラフルだったのに。「ただいまぁー」店内の奥で姪っ子がiPadで動画を見ていた。「あら、来てたの?」近くに住む妹が旦那さんと買い物にきていた。「おねぇちゃん!今 話してたんだけど、…

色の無い世界②

「今日、予約ある?ランチ行かない?」親友からのランチのお誘いの電話。旦那様に相談すると笑顔で行っておいで、と言ってくれた。友がお店まで迎えにきてくれたので車に乗り15分くらい走って知り合いのバイキングのお店へ。…うわぁ。全然美味しそうに見えな…

色の無い世界①

なにが起こったのかはわからない。目をさますと普段見慣れているはずの世界は白黒だった。昨日ネイルしたばかりの自分の爪。もらった結婚指輪。本当は綺麗な色なのに。テレビをつけてみた。最近お気に入りのポップなカラーのアニメも昭和のテレビみたいだ。…

〜世にも奇妙な物語のような夢⑤〜

とりあえず、身仕度を早く終わらせる。車にのりエンジンをかける。よし。携帯を手にとり結奈に電話した。「もしもーし。結奈?」「らら!どうしたの!?」「結奈が夢に出てきてさ、なんか話したいことあるっぽかったから。30分くらいなら時間あるからかけて…

〜世にも奇妙な話のような夢④〜

その人を救う…私が悪いと言って刺してきたあの人のその理由が分からないといけないのか…?ネネの話しから考えながら運転していると気づけば目的地に着いていた。あれ?迎えにこない。時間はとっくに過ぎているのに。。。頭の中がグルグルする。街中の駐車場…

〜世にも奇妙な物語のような夢③〜

うーん…これは、夢か?現実か?定番のホッペでもツネッてみる。ギュッ、痛っ。よし!後で、ネネにこの夢の話をしよう。そして、のちにブログにでも書いて書籍化して世にも奇妙な物語の題材にしてもらおう。夢のせいで身支度も3度目だ。なんだかやる気なくな…

〜世にも奇妙な物語のような夢②〜

…なんだ?夢の中で夢をみたの?物語のようだったし、リアルだったから、鮮明に覚えていた。不思議な夢を見たもんだ。とりあえず、用意しないとネネとの待ち合わせが11時半。身支度を済ませ、家を出る。車に乗りエンジンをかける。ギリギリにネネんちに着くか…

〜世にも奇妙な物語のような夢〜

…ん?目を開けると…倉庫??薄暗くてあまりよく見えないが、足元にはダンボールが沢山置いてある。ん?私の前に人が立っている。足元が見える。視線を上に上げようとした時「あなたが悪いんです」と声が聞こえた。瞬間、ブスッ。と鈍い音がした。彼女は泣い…

〜本の話を少し〜

私は本が好きで本屋さんにいくと3時間は、あっと言う間にたってしまいます。最近のお気に入りはスタバ✖️TSUTAYA ここには5時間いても足りません。そして帰りには10冊前後の本を買って帰ります。買って帰って読んだ本は、人に貸すことも多く戻ってきていない…

〜いつメンの集まる土曜日〜

チリンッ「いらっしゃいませー」「み、、みずを、、」フラフラしながら目を細めてなだれ込む様にカウンターに座る。座った瞬間には両腕をテーブルにのせてそこに顔をうずめる。「ぷぷっ」「わたくし、、もう、、飲めません。」「はい、お水」ネネが出したお…

〜土曜日の朝は精神統一〜

あの時、あーすればよかったかな。こーすればよかったかな。なぜ、こんな風になってしまったのか。悔しいし淋しいし悲しい。…と、グルグル連鎖に入ってしまった時。お師匠様に頂きました。『その時、その行動をとったのはその時の自分にとって、最善策であっ…

〜若さの秘訣の金曜日〜

ガラガラ👩🏼「ハリちゃん、おまたせー!ママ、こんばんわ( ´ ▽ ` )」「あら、ママちゃん!相変わらず細いわねー。いらっしゃい。どぉーぞ。」「あ、急にごめんなぁー、好きなもん頼みー」一つだけ空いている一番手前の席に座る。ここはカウンター小料理屋「そろ…

〜同業の和の木曜日〜

チリンっ「いらっしゃいませ」「あら、お疲れ様。どうしたの?サボり?」「ママのところは相変わらず、入ってるねー。どこもガラガラだよ。この状況で2人でやってるんだから本当にすごいよ。店が暇すぎて心が折れたから、もう飲みに出てきたんだよ。」空いて…

〜予感的中の水曜日〜

チリンっ…小さく入り口のドアの呼び鈴が鳴る。カウンターのお客様が一斉に振り向く。ふっと目をやると微妙にドアが開いている。ん?またトクちゃんかな?接客中のお客様に一礼をして、カウンターからドアに向かった。中からは押すようになっているので、押そ…

〜不動産業界の火曜日〜

昨日の雨が嘘のようにカラッと晴れた今日。だけど、夜は10月ともなれば肌寒い。チリンっ🕘👩🏼👧🏻「いらっしゃいませ」( ´ ▽ ` )火曜日のいつもの2人組。ケラケラ笑いながらスーツの上着を脱ぎ、カウンターの椅子の背もたれに掛ける。「今日は何を食べてきたの?」お…

member's 「coa」

ここは、とある街のまぁまぁ小さな繁華街。この話は私が営むスナックを姉妹で営業している日々のストーリー。独特なメンバーがなぜか揃うアットホームなお店の実話を元に作製。本編は私的主観であり、事実とは異なることを含んでおり、店名、人物名、団体名…